このコーナーでは、初心者から中級向けに為替取引の戦術面での考えかた、予測を提供いたします。具体的な売り買いのレートポイントも掲載しております。ただくれぐれも「投資は自己責任」をお忘れなく。
■先週の動き〜今週の材料と相場展望 2010/8/30(月) 18:00 更新
■先週の動き
先週の外国為替市場は週前半、円高が進行、ドル円では15年ぶり、ユーロ円では9年ぶりとなる安値をつけたが、さすがに一方的な円高に対する警戒感もあり週後半には若干戻す展開となった。
20日ECBメンバーでもあり、タカ派で知られるウェーバー独連銀総裁が,3ヵ月オペ等での銀行への無制限の資金供給を年末以降も続け、出口戦略の議論は来年初めに再開すべき、とのハト派的見解を示した。週初は、この発言の影響もあり、ユーロ圏の金利低下と相まって、ユーロは対ドル、対円で急落、ユーロ/ドルでは1.2664付近、ユーロ円では一時108.25付近の安値をつけることとなった。
24日(火)になると、円買いはさらに加速、、野田佳彦財務相の「極めて注意深く見守る」としたうえでの「為替介入についてはコメントしない」という発言を嫌気し、東京時間に84円80銭付近のサポートラインを下抜けた。、さらにニューヨーク時間には米国株式市場の下落や、米7月中古住宅販売件数の弱い数字(3.83M)をうけ、リスク回避による円買いと、米経済不安のドル売りが重なり、ドル円は15年ぶりの円高水準となるに83円60銭付近へ一気に下落した。ユーロ円もドル円に同調して下落し、2001年以来のユーロ安・円高水準となる105円45銭付近の安値をつけた。ユーロ/ドルでは、格付け会社S&P社によるアイルランド長期ソブリン格付けの引き下げなどもあり、1.2615付近の安値へ下落している。
しかし週央以降は日銀の追加金融緩和、に対する思惑、また、野田財務相の「必要な時には適切な対応をとる」という発言が伝えられると介入警戒感から円安へ反転した。さらにユーロに関しては、独IFO景気動向指数が予想(105.7)を上回る106.7と2007年6月以来の高水準となったことが円やスイスのロングポジションが解消される動きにつながった。週後半も引続きポジション調整が続き、対ユーロや対豪ドルでドルが下落した。金曜日、カンサスシティー連銀主催のシンポジウムでバーナンキFRB議長が講演、その発言内容が明らかになると、市場はユーロや豪ドルなどのリスク資産の買戻しを加速し、ユーロ/ドルは1.2778付近、豪ドル/ドルは0.8998付近まで上昇した。バーナンキ議長は、「FRBは現時点で一段の措置に向けた特定の基準やトリガーで合意していない」と発言し、追加金融緩和措置の具体的な方法や時期については言及しなかったが、その一方で「最近の米景気は軟調であるが、2011年の米景気上向きへの条件は整っている」と発言し、市場が懸念していたほど米国景気の先行きに対し悲観的な見方を示さなかったことが、市場のリスク志向を高めたと思われる。リスク志向の高まりは、安全資産買いされていた円、スイスフランの売りにつながり、ドル円は85円台ミドル、ドル/スイスは1.0300手前のレベルまで上昇している。
■今週の材料と相場展望
今週は3日(金)の雇用統計を筆頭に、雇用・製造・住宅などの米国指標が目白押しである。市場では概ねどの指標も低調な数値が見込まれており、27日(金)のバーナンキ議長の講演で高まったリスク志向が継続するかどうかに注目が集まる。バーナンキ議長は講演で、「最近の米景気は軟調であるが、2011年の米景気上向きへの条件は整っている」と発言し、そのため米国株式市場では大幅反発も見せていた。
しかし、米8月失業率の調査対象となる新規失業保険申請件数や、4週間移動平均は悪化しており、3日(金)の雇用統計では下振れリスクが懸念されてる。1日(水)の8月ISM製造業景気指数でも、先行性のある7月「新規受注」DIが低下しており、7月から悪化する可能性は高い。2日(木)の7月中古住宅販売成約指数は、米政府による税優遇措置の実質的終了をうけて8月まではやはり悪化が見込まれている。その他では30日(月)の7月個人所得・消費支出、31日(火)の8月シカゴ購買部協会景気指数、6月S&Pケース・シラー住宅価格指数、8月消費者信頼感指数、1日(水)の 8月ADP全米雇用報告、2日(木) 7月製造業受注、3日(金)のISM非製造業景気指数が主なところ。また、31日にはFOMC(連邦準備制度理事会)議事録(8月10日分)の公表が予定されている。WSJ紙によると、8月10日のFOMCは「バーナンキFRB議長就任以来最も異論の多かった会合」と伝えられており、追加緩和策については、「出席した幹部17人中少なくとも7人が議論の過程で異議を唱え」と報じられている。今回の議事録公表ではその内容が確認されるため、市場の大きな注目を集めそうである。
ユーロは対ドルで、20日のウェーバー独連銀総裁によるECB緩和策長期化示唆から下落し、24日に安値をつけたが、その後持ち直し基調にある。市場のリスク志向がやや回復したこととポジション調整が大きな要因であり、今後ユーロ買いが強まるかどうかは判然としない。ドイツの8月IFO業況指数や4-6月期GDP確定値(季調済)などのユーロ圏指標の良好な結果は、ユーロの買戻しを促進する材料となっているが、一方でアイルランドと独の10年物国債スプレッドはユーロが創設されて以来最高水準へと広がっており、欧州ソブリンリスクへの懸念は再燃しつつある。こういった状況下で注目されるのは、2日(木)のECB(欧州中銀)理事会である。政策金利は今回も1.0%で据え置きが見込まれるが、ウェーバー独連銀総裁発言をうけて固定金利で資金の無制限供給の継続も決定されるとみられている。ユーロは米国株式市場に左右されて相場が方向感を失う展開も予想されるが、ECB理事会後にはトリシェECB総裁の記者会見も予定されており、欧州景気への認識や、ソブリンリスクに関する彼の発言内容によっては、ユーロが大きく変動する可能性がある。欧州圏の経済指標では、31日(火)のユーロ圏8月消費者物価指数速報値及び7月失業率、ドイツの8月失業率、2日(木)の7月生産者物価指数、4-6月期GDP改定値、3日(金)のユーロ圏7月小売売上高などが主なところとなる。
その他通貨では、オーストラリアで31日(火)に4-6月期豪経常収支、1日(水)に4-6期GDPが発表され、市場の注目を集めている。4-6月期は輸出が好調だったため、いずれの指標の数値も良好なものが予想されており、豪ドルの強気筋にとっては絶好の買い場となる可能性がある。ただ、豪ドルはリスク資産として、米国株式市場などの影響を強く受けるため、相場は全体的に神経質な展開となるかもしれない。また、安全資産買いが進んでいたスイスフランは先週末一旦調整売りとなったが、スイス当局によるユーロ/スイスでのスイス売り・ユーロ買い介入は継続すると予想されており、やはり米国株式市場次第では、市場がスイス売りに大きく傾くことも考えられる。
■ドル円 日足

■ユーロドル 日足

■ユーロドル P&F

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